穴子の仕入れは、実はとても難しい

穴子料理は日本料理の中でも、とくに繊細な技術と目利きが問われる人気の一品です。

なかでも「仕入れ」は、美味しさを大きく左右する重要な工程。ところが、安定して天然の穴子を仕入れるのは年々難しくなっており、料理人にとっても悩みの種となっています。

本記事では、穴子の仕入れがなぜ難しいのか、その背景と現状、そして対馬水産が取り組む新たな提案についてご紹介します。

1. 美味しい穴子料理の鍵は「仕入れ」にある

穴子の白焼き

本当に美味しい穴子料理をつくるには、「穴子の仕入れ」がもっとも重要で難しいとされています。

とくに、白焼きのように素材の質がそのまま味に出る料理では、良質な穴子を確保することが絶対条件です。

2. 足が早く、扱いが難しい魚

鮮魚の状態の穴子

天然の穴子は非常に傷みやすく、鮮度が命です。そのため高級店では、活魚を店内でさばくか、信頼できる仲買人から朝締めの穴子を仕入れて、その日のうちに調理するのが一般的です。

江戸前寿司では「煮穴子を食べればその店の腕がわかる」と言われるほど、職人にとっても穴子は扱いが難しく、繊細な食材です。

3. 瀬戸内海では、もはや天然穴子が獲れない

対馬近海で獲れた対馬金穴子

かつて穴子の一大産地だった瀬戸内海では、地球温暖化や乱獲の影響で、天然穴子の水揚げが激減。今では、ほとんど漁獲されなくなってしまいました。

4. 対馬と韓国に残る、持続可能な漁法

対馬で漁師が穴子の水揚げをしている

一方、対馬や韓国では稚魚を獲らない漁法が守られ、今もなお天然穴子の漁獲が続いています。

ただし、こうしたアナゴは非常に希少で、活魚船からの水揚げ後に活魚水槽で一晩管理し、活魚車で豊洲市場まで運び、注文分だけを朝に処理して即日配送するという、手間とスピードが求められる世界です。

5. 安価な冷凍穴子が主流の現状

市販の煮穴子

一方、スーパーや回転寿司で見かける煮穴子寿司の多くは、真穴子ではなくペルー産のマル穴子と呼ばれる、別種の価格の安い冷凍穴子が使われているケースも少なくありません。

6. 高品質冷凍穴子「対馬金穴子」の挑戦

対馬水産が製造した対馬金穴子

対馬水産では、対馬近海で漁獲された天然真穴子を、現地で活け締め・真空パック・急速冷凍(凍眠)といった加工を行うことで、「解凍したときが水揚げ直後の鮮度」を目指した冷凍穴子「対馬金穴子」を開発しました。

これにより、活魚水槽がない飲食店や、海外のレストランでも、天然真穴子を使った白焼きや天ぷら、寿司などが提供できるようになりました。

まとめ

仕入れの難しさから、高級料理店でも扱いが限られる天然マアナゴ。

その価値を広く届けるために、対馬水産は持続可能な漁法を守りながら、冷凍技術で鮮度を維持し、世界中へと本物の味を届けていきます。