Fill the Ocean with a Single Drop『大海を一滴で埋めよ』|第十二話『リベンジ』2025年4月16日

第十二話『リベンジ』

このドラマは、対馬水産による新規プロジェクトをユーモアとリアリティを交えて描くノンフィクション・シリーズです。

情報は伏せたままアポイントを取り、現地一発勝負に賭ける。

2025年4月16日【Zoom会議:大阪営業本部・朝の朝礼】

参加者
 営業所:塚口部長、児島、橋詰(ファインスタッフ SE)
 Zoom:長谷川(東京)
 Zoom:田中工場長(長崎県 対馬)

児島
「おはようございます。」

塚口部長
「児島くん、大丈夫か?」

児島
「はい。もう復帰しています。
昨日の遅れ、申し訳ありませんでした。
今日は必ず、仲買向けの手紙を出します。」

長谷川
『……その件ですが、実は昨日、部長と一緒にテレアポしました。
木曜に4件、金曜に3件、アポ取れました。
ですので、今回は手紙は不要かと。』

児島
「えっ!?
部長、すみません……自分の仕事だったのに……」

塚口部長
「気にするな。
むしろ、電話での反応の方が良かった。
正直、「もっと早く動くべきだった」と反省してるぐらいだ。

明日と明後日、長谷川と一緒に豊洲を回る。勝負どころだぞ。」

長谷川
『今回は、商品説明は一切していません。
とにかく“アポを取る”ことだけに集中しました。
だから……商談は、ほぼぶっつけ本番です。』

田中工場長
「サンプルはすでに手配済みです。
大阪には本日午前、東京には明日午前に届く予定です。
今回は特に、仕上がりに自信があります。
必ず、食べれば分かっていただけるはずです。」

塚口部長
「田中工場長、ありがとう。

今回の相手は豊洲の大手仲買……1社でも動けば流れは変わるはずだ。」

長谷川
『いえ、全社まるごと、魔法にかけてみせます。』

児島
「……その自信はどこから来る  ある意味尊敬するよ。

でもな、現実は甘くない。

豊洲の仲買はプライドが高いし、
「冷凍」と聞いた瞬間にシャッターが下りる可能性もある。
前回の豊洲の荷受けとの商談でも...」

(※回想カット:冷凍部の荷受けにて「あんたいったい その値段で、どこに売るつもりだい?」の言葉)

(一同、沈黙)

塚口部長
「……ああ、覚えてる。

でも今回は冷凍部ではなく、鮮魚部だ
「大海を、一滴で変える」
――真空チルドという武器を手に、再び挑む時が来た。 リベンジだ。」

(場の空気がピンと張り詰める)

長谷川(空気を変えようと)
『……ところで橋詰さん。
万博の整理券システム、どうなりました?』

橋詰
『はい。印刷機を入れれば、無料ソフトでQR整理券が発行できます。
コストは5万円前後。スマホから順番が見えるので、
お客様に並ばせずスムーズに商品をお渡しできます。』

塚口部長
「それはいい。すぐに導入して、現場に設置を。
万博の準備も、ここからが正念場だ。
気を引き締めていこう。」

長谷川(少し笑顔で)
『なんか、明日が楽しみになってきましたね。』

児島(呆れたように笑いながら)
「……なあ、本当に俺の話、聞いてたか?」

(一同、笑)

塚口部長
「よし、みんなで挑もう。
「冷凍=安物」なんて常識、俺たちが覆すんだ!」

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