Fill the Ocean with a Single Drop『大海を一滴で埋めよ』|第七話『大阪万博』2025年4月7日

第七話:『大阪万博

このドラマは、対馬水産による新規プロジェクトをユーモアとリアリティを交えて描くノンフィクション・シリーズです。

大阪万博出展を控え、海外への最大アピールを意識し、チームの士気を高め合う。

2025年4月7日【大阪・対馬水産 営業本部 会議室】

参加者
 営業所:塚口、児島
 Zoom:長谷川(東京)

児島
「大阪万博の出店に関するプレス発表が、4月9日に万博会場内ORAの2階で行われます。
誰が対応しますか?」

塚口
「うちの商品は『伝助炙り煮穴子重』、1,980円だったよな。
出店期間は?」

長谷川
『4月28日から5月11日までの2週間です。
1日1,000食を目標にしています。』

児島
「1,000食!?ムリムリ。どうやってそんなに売るつもりなんだよ。」

長谷川
『グループ会社(人材派遣会社)から、毎日10人の精鋭を派遣してもらう予定です!』

児島
「ファインスタッフか、あの会社なら英語、日本語も話せる他言語対応のマルチリンガルスタッフも
在籍多数なので、安心だな。

グループ会社にとっても 今回の出店料 2週間で1,000万円につき 特に精鋭が送り込まれてくるはずです。」

長谷川
『その金額! 意味がわからん。』

塚口
「ファインスタッフは、この万博に多くの他言語対応のスタッフを送り込んでいる会社なので
それも広告宣伝費なのだろう。」

児島
「我々も、世界中に我々のビジネスモデル、ジャパンクオリティーを広める
大チャスなので、他言語対応は必須なんだ。」

塚口
「で、米の手配は済んでるのか?
現場じゃ炊きたてじゃないと対応できないぞ。

それに、日本中で米が足りなくて高騰してるって話もある。
配送もスムーズにいくのか?」

長谷川
『はい……正直に言うと、大丈夫ではありません。』

児島
「えっ?どういうこと?
まだ手配できてないのか?」

長谷川
『米屋とは話がついてるんですが、会場内への搬入ルートがまだ確定してないようで…。
正直、ちょっと詰んでます。』

児島
「おいおい、もうすぐ開幕だぞ?」

長谷川
『開き直るしかありません。
見積書もまだで、おそらく“時価”になります…。』

児島(空気を読まずに)
「だったら、日本の米の関税を700%から0%にしましょう!」

(間)

塚口・長谷川
「……。」

(一瞬の沈黙が流れる)

塚口(仕切り直して)
「まぁ、日本中……いや世界中にアピールできる大チャンスだ。
ここは広告宣伝費として、腹をくくるしかないな。」

長谷川
『はい。たった2週間の出店ですから、現場はすべてグループ会社の精鋭に任せます。』

児島
「その通り。我々はあくまで煮穴子の卸元。
プレス対応も運営も、任せるべきだ。」

塚口
「『煮穴子に込めた想い』の原稿、ちゃんと渡しておいてくれ。」

長谷川
『もちろんです。
それと、皆さんも応援に来てください。
こんな経験、めったにありませんから!』

児島
「えーっ、ゴールデンウィークに仕事ぉ?」
泣きそうな顔になる

塚口(ニヤッと笑って)
「当然だろ。」

長谷川
『あっ……すみません!塚口部長の入場証、申請するの忘れてました!』

塚口(さらにニヤッと)
「それは……本当に、残念だなぁ。」

児島
「長谷川くん、今すぐ申請しておけ!」

塚口
「いやいや、無理しなくていい。気にするな。」

長谷川
『いえ、急ぎます!すぐやってきます!』

一同、笑

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