Fill the Ocean with a Single Drop『大海を一滴で埋めよ』|第十四話『大海ルート』2025年4月25日

第十四話『大海ルート』

このドラマは、対馬水産による新規プロジェクトをユーモアとリアリティを交えて描くノンフィクション・シリーズです。

仲買から予想外の高評価──次なるステージへの道が、ついに開ける。

2025年4月25日【Zoom会議:大阪営業本部】

長谷川
『塚口部長、豊洲の仲買から続々と反応が届いています。
先日お渡しした穴子の刺身と白焼き用の生穴子、どこも「美味い」と大好評でした。』

塚口部長
「そうか。やはり冷凍サンプルとは違って、返事が早いな。」

長谷川
『はい。今回はすでに日本で解凍済みの状態で届けられたので、その日のうちに全員が試食してくれました。
田中工場長の“ジャパンクオリティ”、しっかり豊洲のプロたちにも伝わっています。』

田中工場長
(うれしそうに頷く)

長谷川
『しかも、ケース単位の発注も入り、次々と空輸チルド便での輸出が始まりました。
いよいよ、現地のレストランでも試食がスタートします。』

児島
「前は冷凍だったからなぁ……なかなか試食してもらえず、返事も遅かった。
下手したら、まだ冷凍庫に眠ってるサンプルもあるかもしれん。」

長谷川
『今回は違います。豊洲の魚屋のチルド便に乗せて、そのまま高級レストランへ直送。
冷凍庫を経由せず、そのまま厨房へ届く流れです。
解凍の手間やミスもなし。調理人がその場で判断できる状態です。』

塚口部長
「つまり――冷凍ストックも冷凍車もいらない、新たな商流。
これが……“大海ルート”というわけか。」

児島
「もう”冷凍を解凍する商品”じゃない。
”届いたままの状態”で、そのまま味が問われる。
ミシュランの厨房で、シェフが選ぶかどうか……ここからが本番ですね。」

長谷川(力強く)
「はい。食べてもらえさえすれば、必ず伝わるはずです。
あの豊洲のプロたちが絶賛した商品ですから。
一滴の水が――大海の波紋になると、信じています。」

塚口部長(静かに頷き)
「……答えは、すぐに出るさ。」

(少し間を置いて)

塚口部長
「――そういえば、児島くん。万博の準備、どうなってる?」

児島
「はい。いよいよ来週、4月28日からスタートです。」

長谷川(顔を上げて)
「いよいよ、伝助炙り穴子重”を、世界へ向けてお披露目ですね。」

塚口部長
「問題は?」

児島(少し暗く)
「はい……山積みです。」

長谷川(笑顔で)
「海外の現地の反応!
大阪万博でのお披露目!

来週は、楽しくなりそうですね。」