Fill the Ocean with a Single Drop『大海を一滴で埋めよ』|第十話『24%から10%』2025年4月11日
第十話『24%から10%』
このドラマは、対馬水産による新規プロジェクトをユーモアとリアリティを交えて描くノンフィクション・シリーズです。
危機感高まるアメリカ向け仲買に、コスト削減策を武器にターゲットを絞る。
2025年4月11日【大阪営業本部・会議室】

大阪営業本部・会議室|4月11日 朝
(テーブルの上には、「相互関税 24% → 10%、90日間の暫定措置」の新聞記事が広がっている)
塚口部長
「児島くん……豊洲への手紙は、もう送ったのか?」
児島
「……申し訳ありません。
実はまだでして……大阪万博の入場証の手配でバタバタしておりまして……。」
塚口部長(驚いて)
「え!? 明後日からじゃないか、大阪万博!」
児島
「……申請フォームが複雑すぎて、全然前に進まないんです。
もう完全にお手上げで……。」
塚口部長(少し呆れつつ)
「……分かった。で、手紙はいつ送れそうなんだ?」
児島
「来週の月曜日には発送するつもりです。」
長谷川(冷静に)
「塚口部長、アメリカ輸出が多い仲買向けの手紙はどうしますか?
関税がいきなり24%から10%。この90日間、静観すべきかと……。」
塚口部長(腕を組み、考え込みながら)
「いや……アメリカ便こそ、攻めるタイミングだと思う。
たとえ関税が下がっても、原価率で見れば実質10%アップだ。
現地のレストランは、今ごろ悲鳴をあげてるはず。
我々の提案に、耳を傾ける余地はある。」
児島(背筋を伸ばし、真っ直ぐな眼差しで)
「……部長、それ、勇気ある判断です。
でも、こういうときに動けるかどうかが、営業の分かれ目ですよね。
手紙、すぐに準備します。必ず届けます!」
(間)
児島(はっと気づいて)
「……あっ、でも今日は、大阪万博の入場証対応を優先させてください……!」
長谷川(皮肉っぽく)
「ところで……大阪万博って、いつから、どこで?でしたっけ?」
(東京じゃ全然ニュースになっていない)
児島(頭を抱え、小声で叫ぶように)
「……明後日!!」