Fill the Ocean with a Single Drop『大海を一滴で埋めよ』|第十九話『ニューズウィークからの取材オファー』

第十九話『ニューズウィークからの取材オファー』

このドラマは、対馬水産による新規プロジェクトをユーモアとリアリティを交えて描くノンフィクション・シリーズです。

長谷川は仲買との交渉を続ける中、児島がアメリカの大手週刊誌「ニューズウィーク」からの取材オファーを報告する。
真偽を疑いつつも、塚口は夢のような話に乗る決断を下す。

2025年5月26日 9:00 本社会議室

参加者
 営業所:塚口部長、児島
 Zoom:長谷川(東京)

塚口
「長谷川君。例の、気になってた仲買の件――どうだった?」

長谷川
『はい。興味は示してくれてます。ただ……やっぱり時間はかかりそうです。』

塚口
「そうか。焦らずでいい。地道に信頼を積み上げよう。」

長谷川
『はい。諦めずに食らいついていきます!』

(間を置いて)

児島
「……塚口部長、それよりひとつ、大きな話がありまして。」

塚口
「ん?」

児島
「ニューズウィークから、取材のオファーが来ています。」

長谷川
『ニューズ……ウィーク? それって、何の雑誌ですか?』

児島
「え、知らないのか? アメリカの老舗週刊誌だ。新幹線の売店にも置いてある。世界59カ国で発行、読者数は7,500万人――化け物みたいな影響力がある。」

長谷川
『7,500万人!? なんでそんな雑誌が、うちに取材なんか……?』

児島
「対馬から世界へ。うちの海外展開が、注目されたのかもしれない。」

長谷川 
『本当にそんな話、ありますか? 絶対に何かの詐欺ですよ』

児島
「正直、最初は自分も疑ったが、先方はちゃんと社名入りのメールで連絡をよこしてきてます。Zoomで詳しく説明したいと。」

(少し沈黙)

塚口
「……本当なら、とんでもない話だな。」

(小さく笑って)

塚口
「ま、夢みたいな話には、とりあえず乗ってみようじゃないか。zoomのアポ、取ってくれ。」

児島
「承知しました。すぐにZoom、手配します。」

長谷川(小声で)
『いやいや……これ、ぜったいにー詐欺でしょ……。』

(場が静まり、ちょっとした間)

児島
「でも真実なら、仲買も、世界も動くぞ。」

(暗転)